「リズと青い鳥」を観た。
リズと青い鳥が公開された。
まずもってまとまる気がしないが、それでも何かしら記したい。
感想的なものを書くことが、作品に携わった全ての方々に感謝を示すことになれば。
そんな思いでこの文を書く。
作品の作りとしては前情報通り、希美とみぞれ 2人の物語に完全にフォーカスし、その他の要素は人、イベント含め徹底的に削ぎ落とされている。
(結果、原作では割と本筋に絡んでいた久美子が完全なモブと化した)
純粋にストーリーだけで言えば、30分で収まるようなシナリオだと思う。
贅肉(久美子)を削ぎ落としあえて隙間を持たせたシナリオにより、ひとつの表情を、言葉を、動きを丁寧に贅沢に描く。
やりたい事、観せたいものに照準を定め狙い撃つ計算され尽くした作りだと感じた。
と、ここまで客観的に観た印象を並べた。
一歩引くのを止める。
みぞ先輩が愛おしい。
希美に声をかけられる度に頬を染める みぞ先輩。
勇気を振り絞り希美に冗談を言ってみる みぞ先輩。
希美の求める言葉を探して、必死に呼び掛ける みぞ先輩。
髪を解く仕草。
目覚めるオーボエ。
ふぐ。
のぞ先輩が痛ましい。
みぞれへの嫉妬心を仮面で隠す のぞ先輩。
圧倒的な力の差に、逃げ道すら失う のぞ先輩。
認めたくない現実を、認めたくない相手から突きつけられる のぞ先輩。
選ばれなかった自分。選ばれたみぞれ。
その愛情はどこまでも無邪気で、だからこそ無遠慮に突き刺さる。
すれ違い続ける二人。
意図しない形で、みぞれは希美の"特別"になった。
希美はいつかそれを受け止められるのだろうか。
風にそよぐ草木の美しさも、目を背けたい感情も全て等しくただそこにあるものとして画面は紡がれる。
自分はまだこの物語を咀嚼できていない。
希美の感情が"好き"の形だとは思えていないし、
disjoint が joint に変わるのは、これからの一つの可能性だと思っている。
それでもまた、だからこそ何度でも観たいと思う。
画面に幾重にも重ねられた感情の層を読み解きたい。
どこまでも深い思いを込めながら、どこまでもフラットな感覚で切り出された瞬間の心地よさを、何度でも感じたい。
ただただまた、「リズと青い鳥」を聴きたい。
最後に。
この麗奈が気高すぎて頭がおかしくなりそうです。