おまけの一日ブログ 〜Too Late To Die 〜

齢27を越えなおも余生を生きる一会社員の独り言。

リズと青い鳥 〜公開直前編〜

リズの足音が聞こえる。

 

気付けば公開がすぐそこまで迫っている。

一週間後には、僕たちはリズ後の世界を生きることになる。

 

衝動と心のざわつきに身を任せた結果、今この文を宇治の地で綴っている。

リズの波動を直に感じる。

 

だいぶ頭がおかしくなっている。

そろそろ本題に入ろう。

"リズと青い鳥"についてだ。

"リズと青い鳥がいかにヤバいか"についてだ。

 

 

続々と関係各位のコメントが公開されている。

シリーズ監督 石原立也さんに顕著だが、多くの方が共通して「二人の不協和音」とその「心地よさ」を語られている。

 

原作者 武田綾乃さんも "好き"という感情のすれ違いを描く物語 と語っている。(私が勝手に要約すれば、だが)

https://natalie.mu/comic/news/277572

 

 

クリエイターとは、"いかに我を通すか"を人生を賭して考え続ける職業だと思っている。

苦慮の末に我を貫き通すクリエイターをこそ師事すべきと、個人的に思っている。

 

いち会社員には想像も及ばない しがらみの中で作品を生み出しているのだろうと思うし、そこでスポイルされてしまうもの、描きたいものとのギャップに苦しみ諦めてしまう方々が相当数いるのだろうとも思う。

 

原作者、脚本家、監督、アニメーター、音楽家、そして私の思いも及ばない様々な立場の方々のそれぞれの思いが積み重なり、一つの作品として結実する。

 

そのあり方の中で、ここまで意思疎通のなされた物語があるのか、と各位のコメントを見て感じる。

それはユーフォが好き、山田監督の作品が好きだから、という贔屓目に依るところだけではないのではないかと思う。

 

原作とアニメーターの理想的な関係性が、ここにはあるのではないかと思うのだ。

 

長文になってしまうが、山田尚子監督の前作 聲の形 公開時のインタビューより引用する。

…リンクの貼り方が合っているのか分からなかったのでコピぺする。

ひどくアナログだがご容赦いただきたい。

 

以下引用-------------------------------------------------------

https://natalie.mu/comic/pp/koenokatachi

〜序文略〜

「まずは、原作の「聲の形」が大事にしているものを芯に置いて、そこは絶対にブレないようにしようと決めていました。時間の都合上、どうしても削らないといけないエピソードは出てくるんですけど、そのエピソードにあった本質の部分は絶対に逃さないようにしないといけない。そこで伝えたかったことは、形を変えてでも入れ込もうと思いました。伝えようとしていることがたくさんあって、いくつものレイヤーがあってこそ、この作品だと思うので、映画でも入れたいシーンはたくさんありました。それでもシンプルに伝えるべきことを伝えなくては、というところでかなり悩みましたね。だけど脚本の吉田玲子さんは今までにたくさんの作品を手がけていらっしゃるので、長い作品を1本にする術を知ってらっしゃるはずだと思って。まずは一旦、大きな指針を話し合ってから、あとは素直に甘えてみようと(笑)。」

〜中略〜

「──大今さんから「大切にしてほしいシーン」みたいなお話もあったのでしょうか。

たくさん聞かせていただきましたね。それを聞いたうえで、映画として成り立つように再構築させていただきました。原作マンガは週刊誌で連載されていて、毎週毎週エピソードの面白さでどんどん読ませていくっていう、すごく天才的な作品だと思いますし、マンガとしてはこれが完成形だと思うんです。

──ええ。

だけどそれと同じ文法で映画を作ってしまうと、ただの引き写しだし、ただのダイジェストになってしまう。そこに映像化の意味がなくなってしまうと思うので、私たちにお仕事をいただけたからには、ちゃんと1本の映像作品として石田将也に寄り添った物語を作る必要がありました。そのうえで表面的な表現方法が変わっているシーンもありますけど、たぶん芯に流れている解釈は変わっていなくて。

──確かに映画を観てから原作を読み返して、「そういえばマンガではこういうシーンだったんだ」と気付くところもありました。芯に流れている解釈が変わっていないから、映画も違和感なく観ることができたんだと思います。

まずは1本の映画であるというのが大事なので、アプローチの仕方が変わっている場面があっても、同じ印象で、同じ熱量で感じてもらえるような工夫はしていきましたね。」

以下、引用終わり-----------------------------------------------

 

作品にどこまでも真摯に向き合う原作者とアニメーターの姿勢。

故に生み出される唯一無二の映像世界。

 

「リズ」は作り手のこれ以上にない寵愛の元に、丁寧に丁寧に紬ぎ上げられた物語だと確信している。

 

 

4月21日。

リズ前とリズ後とで、僕たちの世界はしっとりと緩やかに変貌する。