「serial experiments lain」を分かりたい。
少し前に、動画配信サービスのFOD(フジテレビオンデマンド)に入会した。
目当ては独占配信のTVアニメ「映像研には手を出すな!」で、期待通り最高に面白くて一気に観終えた。
原作を読んでてイメージが追い付かなかった場面が、アニメーションで補完され広げられまくった。
しばらくの間、chelmicoのEasy BreezyがOP映像とともに脳内でループしまくった。
あんまり面白くて速攻で完走してしまったので、FODの無料期間がガッツリ残った。
せっかくなのでと配信タイトルを眺めていたところ、目にとまったのが「serial experiments lain」だった。
前々からちょくちょく目にしていたタイトル。
安倍吉俊のビジュアルイメージから香り立つダウナーの波動。
アングラ、カルト、電波。
海外含む一部の層から熱狂的な支持。
ネットニュースや2ちゃんねる等で語られるそれらの情報は、ひどく魅力的だった。
完全に、「分かるやつには分かる」系の作品だ。
「分かるやつには分かる作品が分かるやつ」になれた時の快感は至上である。
俺もlainを分かりたい。
lainをしたり顔で語りたい。
Let' all love Lain.
じゃあなぜこれまで観なかったのかといえば、lainからは「分かるやつ」になれなさそうな気配を感じたからだ。
人を選ぶ作品から選ばれないことはとても悲しい。
「攻殻機動隊」なんかがそうだった。
みんながワイワイしてるのに自分だけ蚊帳の外なんて許せない。
選ばれた奴らはみんな笑顔だ。
悪気なく「君もこっち来なよ」なんて言ったりする。
残酷だ。僕にはその資格がない。
消えたい。いち早くこの場から消えて無くなりたい。なんで僕は僕なのか。
lainからはそんな軽めなトラウマの匂いがしていた。
そんなものは会社の飲み会だけで充分であってなんでアニメでもそんな思いしなきゃならんのマジで。
動画配信サービスは素晴らしい。
これだけの呪詛も「ワンタップで再生」の気軽さが取り去る。
あっけなく「serial experiments lain」の1話(Layer:01)が始まった。
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もっと早く観ればよかった。
いや、やっぱり今でよかった。
14歳とかで観ちまった日には、もみあげを左側のみ伸ばしかねない。
髪のうねりに絶望し、そこだけストパーをあてかねない。
あまりのキモさにいじめられ、教室の隅で「Let's all love Lain...」と呟いた挙句、失意の果てにモニターに頭を突っ込んで死にかねない。
そこまでいけたらむしろ幸せだったのかもしれない。
「serial experiments lain」は、分からなかったけど面白かった。
選ばれる必要なんてなかった。こっちが選ぶだけだった。
分からないことを無視した結果、分かることの純度が高まった。
起きている現象は分からないが、玲音の心の動きは痛いほど分かった。
こんな切ない話だったのか、「serial experiments lain」。
雰囲気アニメとか言ってたじゃん。そんな心の準備してねえよ。
これでもまだ、表層しか観れてない。
もっと玲音を分かりたい。
Let' all love Lain.
ということで、今はPS版「serial experiments lain」を追っている。
結構進んだつもりだったが、クリアまであと10時間以上もあるらしい。
楽しいなあ。