「リズと青い鳥」Blu-ray&DVD発売に際して。
遂にリリースを迎える。
待ちわびたXデーがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
といった趣か。
しかし果たして本当に待ちわびていただろうか。
この物語に再び真っ正面から向き合えるだろうか。
映画なら激流に飲まれたまま川岸で朽ち果てればよかったが、今回はDISCだ。
一時停止もコマ送りも思うがままだ。
その覚悟は出来ているか。
みぞれの無自覚な残酷さを受け止める覚悟は出来ているか。
対象の一挙手一投足すべてに無邪気な愛情を向ける様を。へにゃりと浮かべる笑みを。
自らの中の"傘木希美"という虚像に注ぎ込む様を。
希美の出口の無い苦悩を受け止める覚悟は出来ているか。
自負とプライドをじわじわと侵され、それでも口元を歪めることしか出来ない遣る瀬無さを。最後まで自分の求める答えを得られなかった苦しみを。
自らが生み出した"鎧塚みぞれ"という巨像に飲み込まれる様を。
劇場公開からはや幾ヶ月、結局この物語にハッピーエンドを見出すことはできなかった。
しかし、だからこそ美しい。
通り一遍の舌触りのよい結末など必要ない。
アニメーションという媒体において、ともすれば不要な救いのないリアリティがもたらす快感をこそ私は求めている。
徹底的にフィクションたり得る世界で、敢えて生み出された不快なリアリティにこそ、嘘偽りない"ホンモノ"を感じられるから。
「リズと青い鳥」Blu-ray&DVDは 12月5日発売である。