シン・エヴァンゲリオン劇場版、面白かったよ。という話。
シン・エヴァンゲリオン劇場版をもって、エヴァンゲリオンは完結した。
そこに異論は一切無い。4半世紀弱に渡り広がり続けた風呂敷をきっちり畳んで、見事に着地した。
おそらくは予想を遥かに超えて大きくなり過ぎたコンテンツを、綺麗に潔く納めたその手腕にはぐうの音も出ない。
賛否あれども「エヴァは完結した」ということについては誰も異を唱えないと思う。それほど明らかに、これを完結編とするという作り手の意志が見えた作品だった。シンプルに、面白い物語だった。
でも終われない。納得いく終わりのはずなのに、心根では受け入れられていない。
この文は、旧劇場版に心酔するシン・エヴァ不適合者のうめきです。
気持ち悪いエヴァが好きだった。
誰も救われない。誰も幸せになれない。
他者を拒絶し、誰も必要ないと嘯き、その実、誰よりも他人を信じ、求めすがる。
繰り返し描かれる、悪趣味にすら見えるグロテスクで抽象的な心象風景。
終わりの見えない自問の中でやっと見出した、手に入れた他者の温もりという希望すら、自ら手放そうとする矛盾。
拒絶することでしか確かめられない他者という存在への根源的な恐怖。
痛みを伴って生きていく。それが、人が生きるということ。
理解し合うという結論が存在しないことに堪らなくリアリティを感じ、救われた。
気持ち悪くて、とても優しい物語だった。
気持ち悪いエヴァンゲリオンを観たかった。
どこまでも救われない物語の中にある優しさを、また感じたかった。
とどのつまりもう一度、「まごころを、君に」と言って欲しかったんだ。