pop'n musicのお話。
pop'n music。
Dance Dance Revolution、Beatmaniaなどと共に音ゲーというジャンルを確立、定着させた草分け的ゲームである。
先の2つが、どちらかと言えば「カッコいい」「クール」な路線だったのに対し、
pop'n musicはその名の通り「ポップ」な親しみやすさがコンセプト。
ダンス、ハウスなど一つのジャンルに縛らず、多様な曲を用意。
また各楽曲には、それぞれのイメージに沿ったゆるカワな担当キャラを設定。
とっつきやすさをアピールした。
(PUFFYをモデルにしたメインキャラ、ミミとニャミ。この頃あんま可愛くないな)
結果、特に女性からの支持を集め、多くのファンを獲得。
二次創作イラストを中心としたファンのコミュニティが生まれ、
最盛期にはpop'nオンリーの音楽フェスが開催されるなど、
楽曲、ゲーム性以外もひっくるめた独自の路線で音ゲー界を牽引し、ギタフリ・ドラマニ等へ続くジャンル隆盛の礎を築く。
その後、jubeatやチュウニズムなどの後発組や、
スクフェス、デレステに代表されるメディアミックス系ソシャゲの陰に隠れ、当時の勢いは無くなったものの、(メディアミックスってもう言わないんですかね)
今なお新作がリリースされており、根強いファンがいるpop'n musicシリーズ。
しかし、このへんの歴史やらゲームとしての意義付けやらは本題ではない。
めっちゃいい曲いっぱいあったよね、という無邪気な懐古語りがしたいだけである。
ロック、ファンク等の各音楽ジャンルのパロディーを軸に、時に真面目に、時にヘンテコな名曲・珍曲を数多生み出したpop'n musicシリーズの楽曲群から、フェイバリットなものを思いつくままに語っていきたい。
以下、前提。
※つれづれ羅列していくので、特にランキングの意図はありません。
※楽曲の難易度は度外視。
※表記は 曲名(ジャンル名)/アーティスト。
Homesick Pt.2&3(ソフトロック)/ ORANGENOISE SHORTCUT
https://youtu.be/oGpiFCRqyTE
抜け感と透明感が混ざり合うSUGIのボーカルに、軽快にほんのり切なく駆け抜けるメロディー。
音ゲー曲と侮るなかれ、本格派渋谷系サウンドここにあり。
元ネタはフリッパーズ・ギターなのかしら?
I really want to hurt you ~僕らは完璧さ~(ポップスREMIX)/ SUGI&REO
続けてSUGIボーカル曲。
初代pop'n musicにて、ずばりジャンル名「ポップス」を冠した製作陣の自信の1曲、そのREMIX版。
若気の無敵感と照れが同居する、甘酸っぱめポップソング。
ちなみに先のHomesick Pt.2&3は、本曲のアンサーソング。
「『僕らは完璧』なんて軽い冗談だった」とのことで、黒歴史化している。
White Eve(ウィンターダンス)/ Sana
White Lovers(ウィンターポップ)/ Sana
pop'n界の広瀬香美ことSana。
元はKONAMIのいち社員だったSana=新谷さなえ。
気付けばpop'nには欠かせないアーティストに。
いわばpop'n's dream。
まずは時季がら冬曲2つ。
しっとり系の「White Eve」、
ハッピー系の「White Lovers」。
Spase Dog(ウチュウリョコウ)/ Sana
宇宙開発のさなか、旧ソ連が行ったある実験。
たった一匹、初めて宇宙を旅した犬、ライカ。
帰り道のない、片道切符の孤独な旅。
実話ベースのファンタジー、ライカが見た宇宙の物語。
いい曲で、いい話。
赤いリンゴ(グルーブロックLIVE)/ Sana
pop'nフェスでのLive音源。
ゆえにしっかりバンドサウンド。
ファンキーなカッティングに重なる甘いボーカル。
渋くてポップな良アレンジ。
HAPPY MUSIC(サニー)/ パーキッツ
叩いてて楽しい軽快なリズム+メロディーに、
騒がしいゲーセンでもしっかり聞こえる唯一無二なふじのマナミボイス。
音に合わせてボタンを叩く、という音ゲーのフォーマットに一番ハマる曲を出してたユニット、パーキッツ。
良曲揃いなだけに残念なのが、音のショボさ。
ゲーセンではそこまで気にならなかった弱さが、音源だとどうしても耳に付く。
色んな意味で音ゲー特化型。
願わくば潤沢な予算の下で、いい音で録ってほしかった、そんなパーキッツの曲をいくつか。
大見解(ヒップロック)/ Des-ROW Feat. TSUBOI for ALPHA
pop'n界のORANGE RANGEことDes-ROW。(時代的にはDragon Ashなんだろうけど)
たぶんpop'nで一二を争う人気曲。担当キャラ"六"も人気。
(担当キャラ"六")
Des-ROWもまた音が残念(ドラムとギターがペナペナ)なのだが、この曲は比較的そうでもない。
意味不明リリックが癖になる。3通りから4通り。
夜間行(デスレゲエ)/ Des-ROW・組
同じくDes-ROW。
同じく意味不明リリック。
脳みそだらけの案山子。
夢添うてぃ desmix(オキナワRemix)/ Des-NAWA
Des-ROW×沖縄民謡。
イメージがORANGE RANGEなのは多分にこれのせい。
君を壊したい(パワーフォーク2)/ 新堂敦士
悪名高き新堂敦士。
pop'nやりだした頃にはもう削除されてたのだが、後にサントラで聞いた。
先入観無しに聞けばいかんせんいい曲。
歌い方はだいぶ岡村ちゃんだが。
歌詞もどぉなっちゃってんのか分からないが。
☆Shining☆(ガールズロック)/ りゆ&のりあ
ジャンル名は「ガールズロック」。
一聴して「どこがロックやねん」となるだろうが、ちょっと待って欲しい。
相川七瀬とか、SCANDALとか、今でいえばLiSAとか、「これロックか・・・?」というガールズにとりあえずロックと付けて売り出す手法、それ自体を皮肉ったパロディではなかろうか。
そんな製作陣のスタンス、それ即ちロックだったのではなかろうか。
ないですね。
曲は好きです。
Bitter Sweet(ガールズバンド2)/ THREEP
女性3ピースバンド THREEPによる、ほんとのガールズロック。
極めてシンプルなバンドサウンド。
性急なビートにやるせなさが滲むボーカル。
正統派な邦ロックの作法に則り過ぎていて、正直pop'nらしくない。
それゆえか、THREEPはこれと↓の2曲を残してpop'nから去ってしまった。
語られているのを聞いたことがない、完全に隠れた名曲。
MILK(ガールズバンド)/ THREEP
THREEPのpop'nデビュー曲。
童謡のような穏やかなメロディーと心地よいコーラス。
鍵盤も入っててミドルテンポだけど、やっぱりしっかりロックしてる。
ポップミュージック論(メガネロック)/ ギラギラメガネ団
非常にpop'nらしい、なんちゃってソング。
ジャンル名とキャラから一発で分かるアジカンオマージュ。
で、ペナペナな音にスコーッとなるまでがワンセット。
ただよくよく聞けば、キャッチーなリフやキメの多用、「ハッ」「よっ」の掛け声にサビでのシャウト、厭世的でブンガクっぽい歌詞と、ツボを押さえたロキノン感に愛を感じる。
版権取ってリライトを収録せずに、こういう遊びに走るとこがpop'nの面白さ。
(多分お金の問題なんでしょうけど、それが個性を生んでるということでここはひとつ。)
林檎と蜂蜜(ショウワカヨウ)/ 亜熱帯マジ-SKA爆弾 feat. MAKI
林檎夫人(大江戸カヨウ)/ 亜熱帯マジ-SKA爆弾 feat. MAKI
曲名と担当キャラから椎名林檎を連想させるが、よく聞くまでもなく別物。
(なんだこの背景)
歌謡、といいつつスカ。
スカなのになぜ林檎嬢なのかは謎。
真夜中は純潔とかからか。
ハスキーシンガーMAKIは、Sana・ふじのマナミと並ぶpop'n 3大ディーバ。
Rapunzel(タイムトラベル)/ MAKI
揺蕩うようなサウンドと歌声。アンニュイだけど心地よい。
MAKIといえばカヨウシリーズのイメージが強いが、こっちが真価だと思う。
murmur twins(カドルコア)/ yu_tokiwa.djw
常盤ゆうの甘いウィスパーボイスに、ベースゴリゴリなバンドサウンド。
シンプルにかっこよくて気持ちいい曲。爽やか。
North Wind(ハイパーJポップ2)/ TËЯRA
pop'n中期から登場したアーティスト、TËЯRA。
「ハイパーJポップ」などという実にハイパーで気後れするジャンル名を背負いデビューしたが、見事人気を獲得し、満を持しての第2弾が本曲。
ジャンルとアーティスト名、担当キャラクターJUDYから、完全に浜崎あゆみ的なイメージで聞いたら全然違った。
トランス、と言っていいのか分からないがそんな感じのサウンド。
の割りに切ないメロディーで、後にも続く「ハイパー」ジャンルシリーズの中で一番好み。
明鏡止水(禅ジャズ)/ TOMOSUKE feat.あさき
「禅ジャズ」の名の通り、和の香り漂う、PE'Z的なサムライ・ジャズ。
というかこれがきっかけでPE'Zを聞き出したので、個人的に思い出深い曲。
同じパターンで「スカ」からスカパラ、スペシャルズ辺りを聞き出したり、pop'nが入口になったジャンルが割とある。
100sec. Kitchen battle!!(スペシャル・クッキング)/ Orange Lounge
インスト曲。展開が面白い。
なにがクッキングなのか分からないのに、なぜか納得してしまうキッチン感。
100秒で作れる料理をレパートリーに取り入れたい。
隅田川夏恋歌(A.I.デイトポップ)/ seiya-murai feat.ALT
合成音声×電子音×日本の夏。
pop'n界にもやって来たVocaloidの波。
隅田川花火大会=イギーポップファンクラブ or これ。
掌の革命(プライド)/ kiyommy+Seiya
プレイした記憶はないが、サントラで聞いてハマった曲。
ときメモのキャラソン?イメソン?のカバーらしい。
原曲は未聴だけどいいカバーなんじゃなかろうか。
Late Riser(ビジュアル3)/ good-cool
pop'nなんちゃってシリーズ。
お耽美ではなくソフトなビジュアル系。
素人的にはとてもそれっぽい塩梅。
詳しい人が聞いたらどう思うのかとても興味がある。
お遊びのはずが普通に良曲。
Over the night(レディメタル)/ good-cool
これまたなんちゃってシリーズ。
で、またしても良曲。かっちょいい。
メタルというよりハードロックなイメージ。
聞くたびにカウボーイ・ビバップのヘヴィメタル・クイーン回が頭をよぎる。
今宵Lover's Day(パッション)/ ミッキー・マサシ
pop'n始めた時点で既に昔の曲で未プレイ+未聴だったのだが、
ニコニコ動画の「pop'n夏フェス」みたいなので聞いてハマった。と記憶している。
ホーンサウンドに骨太系おじさんボイス。
ダンディでダーティな大人の魅力、でもゴリゴリまでいかずあくまでそれ風味。
実にpop'n的なバランス感覚。
昨年、通算25作目となる「pop'n music peace」がリリースされたが、明らかにプレイヤーは減っている。
諸行無常が世のさだめとはいえ、他の音ゲーが賑わう中、ぽつんと取り残されたようなpop'n筐体を見かけると物寂しさにかられる。
このまま埋れていくには余りに惜しい、バラエティ豊か過ぎる楽曲群。
せめて音源だけでも受け継がれてくれたら、ええなあ。